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ストレートネックの改善方法③フォームローラーを使った姿勢改善&胸郭&肩の動きを良くするエクササイズ

ストレートネックの改善方法③

フォームローラーを使った姿勢改善&胸郭&肩の動きを良くするエクササイズ

下河内洋平, PhD, ATC, JATI-AATI

大阪体育大学 同大学大学院 教授

 

1.フォームローラーを使った姿勢改善のエクササイズの目的

フォームローラーを用いて姿勢改善を行うエクササイズの目的は主に2つあります。一つ目は大胸筋などの胸の前についている筋肉の柔軟性を高めるということ、二つ目は肩甲骨を支える筋肉や背筋群などの背中側の筋肉を強化するということです。これにより、肩甲骨や胸、肩の可動域や機能が高まり、猫背の改善など姿勢改善に繋がりますので、ストレートネックの改善にも非常に効果的です。

 

2.実際のエクササイズ

※エクササイズの難易度をレベル1~3で表記しています。レベルが高くなるにつれて難易度が  高くなります。

(1)胸をしっかりと開いて外転運動 レベル1

    • フォームローラーを背骨の下に縦に置いて仰向けになり、胸をしっかりと開いて腕を横に広げる。この時に、しっかりと肘を床につける(①)。
      ※首に負荷がかからないように、頭が安定する位置にフォームローラーを置いてください。
    • そのまま肘を床につける努力をしながら床にそって腕を頭の上(バンザイ)までゆっくりと動かす(②)
    • 肘を床につける努力をしたまま逆の動きで①の姿勢にゆっくりと戻り、①と②の動きを10回程度繰り返す

 

(2)交互に万歳 レベル1

    • 同じようにフォームローラーの上で仰向けになり、腕を背泳ぎのように交互に頭の上まで上げる(①~②)
    • 常に胸を開いて肘を床につける努力をする

 

(3)仰向けローイング運動(ボート漕ぎ動作の運動①~②)から胸を開き万歳 レベル2(フォームローラー縦置き/横置き)

    • フォームローラーは下の二つの図のように縦か横に置いて行えるが、横に置いた方が胸はよりストレッチされる
      ※フォームローラーを横に置いた際に、首を伸展した状態で維持してください。
    • 仰向けで腕を前に突き出し(①)、肩甲骨同士がくっつくまで腕を引き(②)、肘を床につけたまま腕を倒し(③)、肘は床に近い位置を保った状態にて、ゆっくりとバンザイするように両腕を上げる(④)
    • 逆の動きで①まで戻り、10回程度繰り返す


(4)タオルを使った仰向けショルダーバックプレス レベル1

    • フォームローラーの上で仰向けになり、タオルを引っ張りながら胸を開いて両腕をバンザイするように上げる(①)
    • 肘は床を沿わす努力をしながら肘を曲げて頭の後ろにタオルが来るように脇を閉じる(②)

 

(5)フォームローラーを掴んで胸開き レベル1

    • フォームローラーを縦に置いて仰向けになり、頭の後ろでフォームローラーの端を掴む(①)
    • そのまま肩甲骨を閉じながら胸を開いて肘を床につけ、3秒~5秒止める
    • ①~②を10回程度繰り返す

 

(6)頭抱え胸開き&反らし レベル3

    • フォームローラーを横にして胸の下に置き、頭の後ろで腕を組んで支える(①)
    • 胸を反らしながら肩甲骨を閉じて胸を開き、肘を床につけ、3~5秒止める(②)
    • ①~②を10回程度繰り返す

 

(7)万歳胸反らし レベル2

    • フォームローラーを横に置いて胸の下において仰向けになり、肘をできる限り伸ばした状態で、両手を合わせて上に引っ張るような姿勢になる(①)
    • 肘を伸ばしたまま手の甲が床につくまで2~3秒程度胸を反らす状態を維持する
    • ①と②を10回程度繰り返す

 

(8)仰向けローイング運動 レベル3

    • フォームローラーを横において腕をできるだけ前に突き出し、肩甲骨同士ができるだけ遠くに離れるようにする(①)
    • 腕を後ろに引いて肩甲骨同士がくっつくように胸を開くと同時に胸を反らす(②)
    • ①~②を10回程度繰り返す

 

(9)スーパーマンからWレイズ レベル3

    • フォームローラーを横に置いて胸の下をフォームローラーで支えてうつ伏せになり、腕を前に突き出してスーパーマンの姿勢になる(①)
    • 腕で図のようにWの形を作りながら、肩甲骨同士がくっつくまでしっかりと胸を開く(②)
    • 大きな動きでゆっくりした動作で行い、①~②を10回程度繰り返す

 

(10)スーパーマンからローイング運動 レベル3

    • フォームローラーを横に置いて胸の下をフォームローラーで支えてうつ伏せになり、腕を前に突き出してスーパーマンの姿勢になる(①)
    • ボートのオールを漕ぐような動作(ローイング運動)を行い、肩甲骨同士がくっつくまでしっかりと肘を後ろに引く(②)
    • 大きな動きでゆっくりした動作で行い、①~②を10回程度繰り返す

 

(11)スーパーマンからローイング運動(フォームローラー無し) レベル3

    • フォームローラーを使わずにスーパーマンの姿勢となり、脚と胸を浮かす(①)
    • ボートのオールを漕ぐように、肘をできるだけ後ろに引き、肩甲骨をできるだけ閉じて胸を開く(②)
    • 大きなゆっくりとした動作で行い、①~②を10回程度繰り返す

 

**うつ伏せで行う(9)~(11)の運動が辛くてできない人は、立った状態で行っても良いです。

 

(12)フォームローラーを使った首のストレッチ レベル1

    • フォームローラーを枕にして仰向けになり、片腕を腰の下に入れて肩が下がった状態で固定する
    • 反対の手を使って図のように頭を斜め前に引き、反対側の首の後ろの筋肉を伸ばす。この時に、伸びている方の首側の方が上がらないようにする。※首に痛みがる際には使用を中止してください。

 

3.フォームローラー上での仰向け姿勢

フォームローラー上で仰向けになる時、図のa)のように腰を浮かした状態とb)のように腰を落とした状態の両方で行うことができます。腰を浮かすと、胸や肩のストレッチ運動を行いながら、より脊柱起立筋などの体幹の筋肉が鍛えられます。一方、膝を曲げて腰を床に落として行うと、より胸のストレッチが強調されます。

どちらの姿勢もつらい人は、c)のように長いフォームローラーもありますので、自分に合った姿勢でエクササイズを試してみてください。

著者プロフィール

下河内洋平

下河内洋平 博士

博士(Exercise and Sport Sciences)

現大阪体育大学教授。2003年にアメリカ合衆国ミネソタ州においてNATA-BOC公認アスレティックトレーナーの免許を取得。2006年にノースカロライナ大学グリーンスボロ校において博士号(運動・スポーツ科学)を取得後、2007年まで同大学においてフルタイムの Postdoctoral Research Associate として働く。2007年9月より大阪体育大学に就任し、現在に至る。非接触性前十字靱帯損傷予防のメカニズムの解明や、そのための合理的なトレーニング方法の開発などを研究テーマの主軸として研究活動を行っている。